パーソナリティー障害

パーソナリティー障害は、ものごとの理解(認知)、感情、対人関係、何かを言ったり行動したりするときの心の動き(衝動性)に偏りがある、精神の機能の障害をいう。

若い時期に始まっており、症状が持続的で長期にわたっていることと、他の精神疾患がないことや、身体疾患が原因でないときに、パーソナリティー障害と診断される。
心の働きに柔軟性がなく、本人に何らかの苦痛が伴うのが普通である。
英語でPersonality disorder、PDという。日本語訳で、人格障害とされることがあるが、元々日本語にある人格障害という言葉は、性格がねじ曲がっているとでもいうような否定的なニュアンスが含まれているため、現在は病名として採用されていない。過去には性格障害と訳されていたこともあった。

特徴としては、自分に対して強いこだわりがあり、傷つきやすいため、対等で信頼し合える人間関係を築きにくいことが挙げられる。男女間、友人間などで人をうまく愛せないし、正面から信じてもくれない。一方で、とても魅力的な個性を持ってもいるので、人が集まってくるが、上手くつきあっていけないために、残念な結果に終わることが多い。

成育する過程において、親の何らかの愛情不足があり、それを補うようにある面が飛び抜けているものと考えられている。これを代償性過剰発達という。人よりも優れた良い面を持っているので、それを活かしていくことと、上手くできない部分を補えるように能力向上を図ることで克服していくことができる。

周囲の人も、その人の特長を活かすこと、できないことをフォローしつつ、自分でもできるように支援していく、つかず離れずに長い目で見守っていくといった態度で接することが必要である。

診断基準を簡単に表現すると次のようになる。
自分や他人に対する認識や、起きたことに対する理解が世間よりもかなりずれている。
泣いたり怒ったり笑ったりの感情が不安定である。コロコロ変わる。
ささいなことでも泣いたり怒ったり、逆にすごく重大なことに無反応であったりする。
人間関係が上手くいかないことが多い。
ほしい、たべたい、行きたいなどやりたい気持ちを抑えるのがヘタ。または、そういう気持ちをまったく持たないようにみえる。
このようなことが、日常生活でも仕事上でも友人間でも問題となる。

誰にでもこのような性格的偏り、つまりは個性があるので、このような診断基準が当てはまる場合もある。当てはまるからと言って、すぐに障害=病気というわけではないので、それをもってどうこう言うのは正しくない。自分自身の性格の傾向を考えるときの参考とするのがよい。


パーソナリティー障害は次のように分類される。

クラスターA奇異群:
風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ。
妄想性パーソナリティ障害
スキゾイドパーソナリティ障害
統合失調型パーソナリティ障害

クラスターB劇的群:
感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的。ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込むことが多い。
反社会性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害

クラスターC不安群:
不安や恐怖心が強い性質を持つ。周りの評価が気になりそれがストレスとなる性向がある。
回避性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティ障害
強迫性パーソナリティ障害
特定不能のパーソナリティ障害


マニュアル(本)には、以下のように書かれている。

パーソナリティー障害の全般的診断基準(DSM-IV-TR)
A. その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、 内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
対人関係機能
衝動の制御
B. その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
C. その持続的様式が、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D. その様式は安定し、長期間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。
E. その持続的様式は、他の精神疾患の現れ、またはその結果ではうまく説明されない。
F. その持続的様式は、物質(例:薬物乱用、投薬)または一般身体疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理学的作用によるものではない。


心の相談室 小倉



出典
DSM-IV-TR:精神疾患の診断・統計マニュアル 第4テキスト版
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 4th edition Text Revision
高橋三郎、大野裕、染矢俊幸(訳)、医学書院、2003年12月

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