境界性パーソナリティ障害

●特徴
・いわゆる「ボーダーライン」と呼ばれているもののこと。
・この「ボーダーライン」という言葉は誤解を生んでいて、精神病と健康の中間などと勘違いされている。
・なにがどう境界なのかというと、人は正常な状態でも、空想や妄想でなんでも自在になる世界と現実において目の前の不安を受け止めながらもその中を生きていける自分に自身を持ちながら生活をする世界のふたつを持っていて、その間を自分の意志で切り替えてコントロールして行き来しながら生きている。このふたつの間の「境界」の行き来が自分でうまくコントロールできなくなっている状況を、境界性パーソナリティー障害と言っている。
・日常で不安になった時には、うまく出来る自分を想像したり、自分の好きなことを空想したりして、現実の不安をうまく回避するが、それができない人。
・不安の回避のために人にどこまでも甘えたり、急に思い立って無茶なことをする。
・ちょっとした不安なことがあるとそれで頭がいっぱいになり、それしか見えていない。

●原因
・大きくなるまでの間、必要な愛情が注がれなかった。親から子への無条件の愛情の不足。
・小さいころはいつもかまってほしいものだが、放って置かれた。
・できた時にはほめてほしいし、自分でできなかったとわかっている時には、だいじょうぶだと理解してほしい、悪いことをした時には、叱ってほしい、それが子供に対する愛情であって、それがとても不足していた。
・思春期なら、余計なことを言わずに親は大きく構えて見守っていることが必要だが、そういうことがなかった。
・親が過剰に期待した、その親を止める人もいなかった、子供の精神的な逃げ場所がなかった。

●簡単な基準(半分以上当てはまるものがある)
・見捨てられる、という思いが強い。
・相手を素晴らしい人と言ったり、急に全くダメとこき下ろしたりする。
・自分が良い面と良くない面とを持っている普通の人間だと思えていない。すごい自分と全くダメな自分のどちらかと思っている。それがコロコロ変わる。
・衝動的。病院の薬をまとめて全部飲んだり、シンナーや薬物にはまったり、買い物癖があったり、セックスにふけったり、乱暴な運転をしたり、むちゃ食いをしたり、ある日いきなり訪ねてきたり。
・自殺をしようとする。人から見ると、死ぬ死ぬと言っておどしたり関心を買っているようにみえる。ただし、本当に死んでしまうことあり。自傷行為を繰り返すなどで、手首に多くの傷跡がある。
・急にものすごく不安になってしばらく落ち込む。
・いつもむなしい
・急に怒り出す、いつも怒っている、ケンカを繰り返す、なぜそのことでそんなに怒るのか他の人にはわからない。
・ストレスがあると一時的に空想や妄想にふけってしまい、現実を見ようとしない。

●周囲の人の対応
・ものすごく愛情を求めてくるが、同情しすぎてそれに100%応えようとしない。サポートできるのはこれぐらいだということを本人にもちゃんと示す。
・愛情を持ちながらも、つかず離れずの状態を保つ。
・今からやろうとするフォローは、3年、5年とずっとやれるようなことかどうか、自問する。継続的にできないようなサポートをしてしまうと、どんどん求められて巻き込まれて自分が辛くなる。そうなってしまうので、お断りすると、本人も裏切られた気持ちになって逆効果。誰も得をしない。
・自殺企図など無茶なことに対しては、毅然とした対応をする。ダメなものはダメ。繰り返してやってしまう場合は、またやった場合は本人が好きなことから離れる(大好きな習い事をやめるなど)ことをあらかじめ本人と約束しておくと予防になる。

●治すには
・不足した愛情は、自分で自分を大切にすることで補うことを覚える。
・自分の問題は自分で解決する。ちょっとした事からはじめる。
・できない自分、不安な自分にも、実はよい所があることを知る。
・物事には良い面と悪い面が共存している、いろいろな側面がある、ということを知る。
・白黒はっきりつくということはなく、中間がある、ということを知る。
・細く長い人付き合いを目指す。


●DSM-IV-TR
以下9項目のうち5つ以上を満たすこと。対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で成人期早期に始まり、さまざまな状況で明らかになる。
・現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気も狂わんばかりの努力(自殺行為または自傷行為は含めないこと )
・理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式
・同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観
・自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食い)
・自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
・顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2 - 3時間持続し、2 - 3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)
・慢性的な空虚感
・不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかをくり返す)
・一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状



心の相談室 小倉





この記事へのコメント

この記事へのトラックバック